温泉パークではカレとの結婚を
初めて意識した私でしたが
旅から帰ればまた元の
殺伐とした毎日を続けることに・・・。
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絶望感、閉塞感、そして
漠然とした死の誘惑・・・
今の私からすれば
「それってやばいから
どこかに相談してなんとかしようよ」
って思うのですが、当時の私には
そんな考えはありませんでした。
心理カウンセリングなんて
普通にサービスとして存在すること自体
知りませんでしたし
そもそも
自分の状況に問題があるなんて
思っていなかったんですもの。
人生なんてこんなもんなんだ
これが普通なんだ
って思っていましたから。
そして
こんなことで辛いなんて感じてしまうのは
自分に我慢が、頑張りが、足りないからだ
って思っていました。
でも、もしあのとき、あれ以上我慢して
頑張っていたとしたら
本当にやばかったかもしれません。
もしも神様というものが実際に存在して
当時の私を見ていたとしたら
今の私と同じように
「ええかげんどこかに相談して
なんとかせえよ~!」
ってヤキモキしていたかもしれませんね。
そしてもしかしたら
そんなふうに業を煮やした神様が
なかなか自分から誰かに相談しようとしない
私のために
「彼女」を遣わしてくれたのかもしれない
そんなふうに思えてしかたがないのです。
その「彼女」とは・・・
今日は、私が
心理カウンセリングの世界に足を踏み入れ
自分の問題と向き合い解決していく
きっかけとなった
ある女性との出逢いについて
書きたいと思います☆
司法書士の仕事で
成年後見業務というものがあるのを
ご存知でしょうか?
認知症や精神障がい、知的障がいで
判断能力が不十分な方たちのために
成年後見人・保佐人・補助人となり
代理でいろんな法律行為を行なう仕事です。
2つ年下の彼女とは
この業務を通して出逢いました。
彼女には知的障がいがあり
私は彼女の保佐人に
就任することになったのです。
私にとっては
初めての成年後見業務でした。
知的障がいのある方と関わることも
人生初めてのことでした。
登記や裁判といった
他の司法書士の仕事と勝手が違う部分も多く
とまどうことも多々ありましたが
彼女はすぐに私に心を開いてくれました。
そして会うたびに
いろんな話をしてくれたのです。
でも彼女の話は突拍子もないというか
摩訶不思議というか
普通の考えかたでは理解できないものも
たくさんありました。
実在しない彼氏の話、そして
その彼氏の弟がバイクで死んだ話
夜中におばあちゃんがやってきて
ものすごく怒っているという話。。。
そして極めつけは
「私はジャンヌ・ダルクの生まれ変わり」
という発言。
思いつきでない証拠に
彼女は何度も何度も
この言葉を言っていました。
とまどう私に
彼女が入所している障がい者施設の
施設長さんが教えてくれました
「彼女が話していることは
客観的には事実ではないかもしれませんが
彼女の心の中では実在している
事実なのです」
と。
そうなんです
彼女、ウソをついているわけではなく
本当のこととして
私に話してくれているんです。
ぜんぶ彼女にとっては本当の話
彼女の心では、実際に起きている話
なんですね。
そうか・・・と納得するのと同時に
私は思いました
「だったら、彼女の話していることが
心の中のどんな出来事を表しているのか
理解したい」
「彼女の心の中で何が起きているのか
理解したい」
って。
そんなことがきっかけで
心理学というものに興味を持つようになり
その関係の本を
読みあさるようになりました。
もっとも大学時代にも
河合隼雄さんのユング心理学の本に
すっかりハマった時期がありましたから
もともと私は
この世界に興味があったのかもしれません。
でもそんなことは
すっかり忘れていました。
そんな私をふたたび
心理学の世界に引き戻したのが
「私はジャンヌ・ダルクの生まれ変わり」
という彼女の言葉だったのです。
のちに
映画「ジャンヌ・ダルク」を観ましたが
自らを神の遣いと言うジャンヌ・ダルクが
自分が女性であるために
兵隊の男たちがついてこないことに怒り
自分の長い髪を男たちの目の前で
バッサリ切ってしまうシーンに
「ああそういうことか☆」
と思いました。
知的障がいの彼女には
これまでの人生の中で
障がいゆえに理不尽な仕打ちを受けたり
女性であるがゆえに辛い思いをした経験が
あるんですね。
そのせいなのか
まだ心理学をほとんど知らなかった
私の目から見ても
自分の障がいや無力さ、弱さ
そして女性であることを
ひどく嫌っている感じが
彼女にはありました。
そんな彼女と
自分が女性であること、弱さ、無力さを
ひどく嫌いバッサリ切り捨てた
ジャンヌ・ダルクが、私の中で
ピッタリ重なる気がしたのです。
そして、いま思えば当時の私も
彼女と同じでした。
自分の弱さ、無力さ
女性であることを嫌い
バッサリ切り捨てていました。
もしかしたら当時の私は
そんな自分自身を彼女に重ね合わせて
見ていたのかもしれません。
(こんなふうに自分の心の中にあるものを
外部の人や物、出来事に重ね合わせることを
心理学では「投影」と言います。)
あるいは神様が
「ほら、これが今のあんたの姿でっせ~」
(なぜに関西弁?)
と、彼女を鏡のようにして
私に見せてくれていたのかもしれませんね。
ところで、しばらくはしきりに
「私はジャンヌ・ダルクの生まれ変わり」
と繰り返していた彼女ですが
私が心理学の本を読みあさりはじめ
そしてその後
ある心理カウンセリングのスクールに
入学したのを境に
ぱったりと
この言葉を口にしなくなりました。
私をこの世界に引っ張り込むという
目的を果たしたので
彼女がこの言葉を口にする必要が
なくなった・・・?
というのは私の考えすぎでしょうかw
いずれにしても私は気づかないうちに
自分の問題と向き合い解決する第一歩を
踏み出したのです。
こうして、長くて険しくて
チクっと痛いけれど(笑)
数々の驚きと感動に満ちた
“癒やしの旅”が始まりました。
次回に続きます☆↓
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